本当にこんなところからの出発でした。
ちなみにデンマークは、ドイツの上、スウェーデンの左下に位置し、ヨーロッパ大陸のユラン半島といくつかの島からなる国です。
このころにデンマーク語というものがあることにも気が付きました。
余談ですが、このデンマーク語というもの、発音が相当厄介です。
たとえば、このタイトルでもある møbler 。
これは、多くの本や雑誌では「 モブラー 」 と書かれています。 これは、私が推測するに ø を o に置き換えて
ローマ字読みをしたものだと思います。ですからデンマークで 「モブラー」といっても通じなく、無理やり日本語表記をするなら
「ムューブラー」が近いと思います。
「ウェグナー」もデンマーク語の英語読みです。デンマーク語の音では 「ヴェーナー」という感じ。
ただデンマークの人たちは、外国人がうまくデンマーク語の発音が出来ないのに慣れているらしく
あまり気にしていない印象でした。
デンマークの位置もわかり、デンマーク語があることもわかった私は、次にどうやってデンマークに滞在しようか考えました。
まず思いついたのは留学でした。
日本の家具工場で技術を修得しつつあった私はデンマーク流の家具デザインの学び方にとても共感を持っていました。
それは、まず家具を作ることを覚え、それからデザインの学習をするという方法です。
デンマークでは人は皆平等という考え方がとても広く、そして強く根付いています。
家具を設計する人、作る人、売る人、使う人、誰が上で誰が下ということもありません。それぞれがそれぞれの違う立場のまま、
対等に意見を言い合い、その中でより良い家具を作ろうとします。
家具を設計する人も製作のことについて理解していなければ、家具を作る人と構造や仕口について対等に話ができないからです。
(もちろんフィン・ユールのような例外もありますが)
それとデンマークの家具デザインは伝統的に無駄のないデザインといわれています。それはそれぞれの形、デザインに
しっかりとした意味を持たせているので、無意味な部材や装飾のみのデザインというのが余りありません。
家具の構造がわかっていないとそれぞれの部材に不必要な大きさをとったり、強度が保てないようなカーブを書いたりしてしまうのです。
ですからまずデザイナーになる前にスネルカー(家具職人)になるのです。
理想としていたことをすでに実践していたデンマークでデザインを学び、ウェグナーのようになりたいと、
私は自然に思うようになっていきました。
それでデンマークの学校を調べ、クンストアカデミー(王立学校)やデザインスコーレなどがあることを知りました。
そして当時、武蔵野美術大学の教授だった島崎信先生をはじめとして多くの日本人学生が留学していることも知りました。
(この島崎先生に後に大変お世話になろうとはこの時点ではまったく予想もしていませんでした。)
