滞在記
PP møbler

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ツアーの参加者と海沿いのレストランで食事をしてホテルに戻った私は、

あの島崎先生がホテルのバーで、参加者を募って懇親会のようなものを開こうとしているのを聞きつけました。

先生の本を何冊か読んでいた私は、デンマーク家具のみならず椅子に関しては第一人者の島崎先生と直接話ができるなんて

これを逃す手は無いと思い、参加を申し出ました。

 各々好きな飲み物を手にした参加者たちは、バーの一角にあるソファに島崎先生と共に輪になって座りました。

14、5人くらいはいたのではないでしょうか。

 お酒のせいか、島崎先生と話せるせいか、少し上気した様な表情の参加者たちを前にして、

島崎先生は話し始めました。



「皆さんはじめまして。島崎信と申します。

たぶん皆さんはこのツアーに参加しているくらいですから私のことはなんとなくご存知なのではないでしょうか、、、。」

「私は皆さんがどうしてイタリアやフランス、ドイツではなく、

北欧の小国デンマークの家具研修ツアーに参加することにしたのかとても興味があります。

よかったら自己紹介も含めてこのツアーに参加した理由を話していただけないでしょうか?」

このような感じで話し始めた島崎先生はニコニコした顔で参加者たちを見ていました。

そしてたまたま島崎先生のすぐ右隣りに座っていた私に向かって言いました。


「では、あなたから。」


突然順番が回ってきた私は、参加者たちの視線を一身に浴びながらすこしずつ話し始めました。


「皆さんはじめまして。いながき いわお と申します。長野県から来ました。

仕事は松本市にある家具工場で、無垢の木を使った民芸家具を作っています。

家具を作ることはとても面白くて、毎日がとても楽しくて、充実していますが、いろいろな家具を知るにつれて、

今作っている家具のデザインではなくデンマークの家具デザインがだんだん好きになってきました。

その中でも特にハンス・J・ウェグナーの家具が大好きです。

デンマークを知れば知るほどデンマークが好きになりまして、どうにかしてデンマークで働きたいと考えるようになりました。

私は木製の家具を作ることが出来るので、デンマークで仕事を得るためには

家具工場で働くことが一番の近道ではないかと考えるようになりました。

それでウェグナーの家具の中で一番好きなザ・チェアーを作っているPPで働きたいと思って、PPに雇ってくれるように連絡をしました。

メールでのやりとりでは就職は断られたのですが、それではどうしても諦め切れませんでした。

一度、直接工場に行って面接をしてもらおうと思っていたところ、このツアーがあることを知りました。

一人で工場まで行くなんて大変だなぁと思っていたので、

ツアーで工場に連れて行ってもらえるなんてとてもラッキーだと考え参加しました。

それで昨日はじめてPPに行って社長さんと会って面接をしてもらいました。

結果はやはりだめでした。

とても残念ですけど、やるだけのことはやったので、また違ったデンマークに滞在する方法を見つけたいと思います。

このツアーでの私の一番の目的が昨日で終わりましたので、後は気楽にデンマークを楽しみたいと思っています。」


こんな感じのことを話しました。

話し終わったとき、そこにいた人たちは、ポカーンとした表情で私を見ていました。


ただ島崎先生だけが隣りでニコニコと私を見つめていました。

ウェグナーがデザインした椅子のポスター

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ウェグナーデザインの椅子のポスター
13、デンマーク家具研修旅行 3日目
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