工場内の仕事場の様子

 デンマーク家具研修ツアーに参加して先ず思ったことは、デンマークの家具やインテリア全般について

あまりにも知らないことが多すぎたということでした。

ウェグナー以外の家具デザイナーについてはもちろんの事、照明などのインテリアや建築から

デンマークの歴史や文化などの本を読んだりして調べるようになりました。

仕事が休みの週末を利用してデンマークの家具、特にPPの商品を扱っている家具店を中心に

あちこちと見て回りました。

東京はもちろんの事、静岡や京都の家具店などにも足を伸ばしました。

それぞれのお店では、約1年後にPPで研修することを伝え、デンマーク家具に関することをいろいろとお聞きすることが出来ました。

今まで本の中でしか見たことの無かった歴代の名だたるデンマーク家具を実際に見て、触れてみると、

ウェグナー以外の家具にあまり興味の無かった自分が恥ずかしく思えるくらい、

いわゆるミッドセンチュリーのデンマーク家具の素晴しさに惚れ込んでいきました。


それぞれの家具屋さんから以前デンマークで留学をしていた方や、当時留学していた人などの情報をいただいたり

デンマークというキイワードでいろいろな方に出会うことが出来ました。

それらの方々の中には今でも親しくお付き合いさせていただいている方もいます。

これらの方々を通して、私のデンマークについての知識の幅と奥行きが広がっていきました。

この方々にはなかなか直接恩返しをすることが出来ませんので、

代わりに、これから家具を勉強していく人や、デンマークに興味を持つ方々に対して

その恩を渡していけたらと思っています。



 デンマークに関する知識は日に日に深く、広くなっていきました。

家具工場にいる間に出来ることは、家具製造に関する知識や技術を出来るだけ多く学び、PPに行ったときに生かすことでした。


私は約9年と4ヶ月間、松本の家具工場で働きました。

高山の技術専門校が木工に携わるスタートですが、家具製造に関する技術の多くはこの家具工場で学んだものでした。

その会社は、もちろん機械も使いますが、手カンナやノミなどを多用する昔ながらの技術を生かして家具を作っている

今でもとても貴重なところです。

個人の家具工房などにはそういう方もいらっしゃいますが、家具会社全体として手道具を多用しているというところは

とても珍しいのではないでしょうか。


私はこの会社で最初に家具を学ぶことが出来たことは非常に幸運だったと思っています。

今ではNCなどのコンピューター制御の機械を使う家具会社が多くなってきましたが

デジタルからアナログへ、時代を逆行して技術を学ぶことは非常に難しいことだと感じています。

アナログなこと、つまり手道具を使って家具を作るという経験は、自分の感性を磨くということにとても有効のように思えます。

これは図面を書くときにも同じことが言え、実際に手で紙の上に図面を書いたことのある方と

はじめからCADで画面上に図面を書きはじめた方では

頭ではなく体(手)で物の形を理解できるかどうかという違いに現れてくると思います。

このことは、実際に手で触れて、体を預けたりして使う家具というものを作る上で非常に大事なことだと考えています。


 その会社には親方、子方という制度が今でも残っていて私もベテランの職人さんの下について家具を習いました。

その親方に、会社を退職してデンマークに行きたいと言った時に、はじめはとてもびっくりされてしまいました。

そして出来れば会社に残ってあとを継いでもらいたいと言っていただきました。

私は親方の子方になる前の入社当時から、この職人さん(親方)の元で修行がしたいと思っていたので、

その方に認めていただけたことは非常にありがたいことでした。

しかし当時はデンマークで就職を希望していましたので、どういう結果になるにしろ会社に帰ってくるという退路を断って、

自分で決めたことを最後までやってみたいという気持ちが揺らぐことはありませんでした。

親方にも最後には私の決意を認めていただきました。

デンマークへ出発する5日前まで働き、最後まで充実した家具工場での仕事が終わりました。



毎日工場へ行くのがとても楽しく、本当に自分はこの仕事が向いているなあと思える9年間でした。

1
23、PP研修への準備 2

滞在記
PP møbler
22
仕事場の様子
24
Home